バナナのたたき売りが楽しいと感じるのは、得をしたいからでなく損をしたくないから
門司流も佐賀流 佐賀(肥後)流も唄をうたいながらリズムに乗せて、合いの手や口上挟みつつ、売るためのバナナの叩き売り!ですが、バナナの叩き売りは、歌詞で数字が出る部分が、販売価格なので、それをどう見極めるかが大事です(今のバナナは安いので本気になれませんが、あの時買っていれば、損をしなくて済んだのにって意識は、同じ金額を得をしたときよりも大きいそうです)
それを、損失回避の法則(プロスペクト理論)と呼ぶそうです。人間の心理は「得」より「損」を嫌がるそうです。
例えば、「♪こういうバナちゃん600円。こういうバナちゃん六百買わなきゃ、五九か?五八(ゴンパチ)昔の色男♪500円!!」
といった具体的な金額を歌にのせて真打ちはアピールします。
このようなスタイルで、いつ売るかわからない状況や、値段交渉の緊張感から、購買意欲を高める演出が行われます。
「こういうバナちゃん600円・・・」といって、お客さんが600円で、反射的に手を上げたら、600円で買わないといけません。
実は、600円が売値でないとかいいだすのです。
「お客さん、ありがとね。(しれっと)このバナナ、500にしようかと・・・」
といいながら
「さっきより色艶が良いバナナちゃん600円から」とかいい出すのです。
つまり、600円より安い金額で変えたかもしれない。しまった、やられたと思っても後の祭りです。
これが、すごいのは、やられたお客さんより、周りのお客さんが本気になるのです。
たかがバナナと思っているでしょうが、これが、10万円の金塊だったらどうします。
値下げしている商品を、いつが買い時をはかりませんか?かといって、安い金額を待っていたら、他の人に取られてしまう。とかなるのです。
特に佐賀流は、物を売る啖呵売です。
流れるような単調なリズムの唄や、人情味あふれる語り口が特徴です。
しかし、値段を決める場面では、迫力のある言葉使いや独特のリズムを用いて、場を盛り上げる場面もあります。緩急の使い分けがすごく引き込まれていくように感じます。
お客さんも安い値段で買いたいという気持ちや、他のお客さんに取られないようにするために緊張感を抱きながら、バナナの叩き売りを楽しんでいるような感覚になります。この緊張感や競争の要素が、バナナの叩き売りの醍醐味となっています。
前回の続き(金額を言うところからバナナを売る)
門司流
バナちゃん節にあわせて、他の口上を混ぜたりもしますが、基本はバナちゃん節に乗っけて売ります。
♪サア買うた♫
♪サア買うた♫の1000円とか、1000万円とか、1万円とかいって、笑いを取りにくる。
そして続けて、
♪こういうバナちゃん六百(ロッピャク)か♫
買わなきゃ、五九(ゴーキュー)
五八(ゴンパチ)か♫~~~の500円!
と続くのである。
なぜなら唄は280円まで続くから
♪次いでに負けとけ二八か
♪年は二八か二九の、江戸で、言うなら多摩川の、
♪京で言うなら加茂川の、水に咲かせし、あら玉の
♪私のバナちゃん買いなはれ
もちろん280円まで単に下がるのではなく、途中で小さいバナナに変えたりする。
どちらにしても大道芸的要素が強いので佐賀流とは一線を画します。
佐賀流
佐賀流の北園さんの著書もビデオを買いましたが、その売り方は、会話、始まる呼び込み、流れるような独特の節回しの唄から始まります。
彼はまず、バナナのコンディション(つや、大きさ、熟れ具合)を見ます。
それを台の上に置き、手に持つのですが、 それもバナナのコンディション(つや、大きさ、熟れ具合)によって、変わるのだそうです。
さて、このバナナを取り出して、流れるような独特の節回しの唄を、唄い始めます。
お客さんの反応を見ながら、コミニュケーショをとりながら入れる合いの手。
かと思えば、歌が切れたか切れないうちに、突然言い出す値段。
売れた後のお客との会話。買えないお客との談笑。 ちなみに肥後流の叩き売りも見ましたが、似たようなものでした。
ちなみにこれを演る人が、門司港にもいます。佐賀流の流れる唄にあわせてバナナの叩き売りを、私は「門司の佐賀流」
と呼んでいます。門司流の方でもできる人がいますが、結構うまかったのが、しゃべったこともありませんが、区議のH氏です。
口上の種類
佐賀流
めずらしいのみつけました。
全部うたってますね。若いときのみたいです。
(「一は万物、物の始まり」という歌(節回し)から 始まるのが本当)です。(一部違うところから始めている人もいます。時間や、やり方の順番を変えたり、天候やバナナの熟成具合とか)
ちなみに寅さんは「万物の始まりが一ならば、国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島、泥棒の始まりが石川の五右衛門なら、博打打ちの始まりが熊坂の長範」ろいうようです。
佐賀流は流れるような単調なリズムの唄、 まるで隣のおじちゃんが 話かけてきているかのような人情味あふれる語り口、かと思うと、値段を決めて言うときは、みのもんたの 「ファイナルアンサー」を言うかのごとく、スパッと言ったり、間延びするタイミングだったり、臨機応変に場を盛りあげ引きつける。


これがバナナのたたき売りのだいご味です。


まとめ

